十月の空の下



  五十年前の十月の田んぼは
  稲刈りの真っ最中だった
  
  手伝いの姉さんや小母さんが
  家に泊まっていてにぎやかだった 
   
  忙しいときのご飯は
  子供の僕には楽しい
  田んぼでのひる飯だ
  
  粗末なおかず
  汗いっぱいの顔
  誰かの話で
  みんなが笑っていた
   
  僕の魂に
  ふるさとがあるとすれば
  あの時の
  十月の空の下が
  そうだ
  



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